ジャネの法則

ひよっこ社会人の奮闘日記

あなたのだいじなものは

度肝を抜かれた。

四角形のカップは、キラリが食べたポップコーンの容器だ。

 

ポップコーンを食べる映画デートが初めてだと、

過剰なほど、喜んでいた。

 

「大事な物入れ」と彼女はこの缶を呼んでいた。

 

中の物は、説明が必要ないほど当たり前に、

彼女の大事なものであり続けた。

 

              —辻村深月『ツナグ』よりー

 

失敗とか挫折とか反省とかもろもろは、

いつになってもつきまとうもので。

頑張れば頑張るほど、努力すればするほど、

壁に当たった自分に跳ね返ってくる

そのダメージは大きいと思う。

 

けれど

やっぱり、努力とか工夫の積み重ねで、

その壁もいつかは乗り越えられると思う。

そうやって前へ進んでいける。

 

経験則として

向かっていく先に、夢や目標が見えているときは

辛くても頑張れるし、乗り越えたときの感慨も

一入大きいものだった。

 

でも その向かう先が、

自分の描いていた夢や目標とは違う先だったら?

 

それが今。

いままで踏ん張れてたところで、足場が弱くて

「なんで自分はここにいるんだろう」

「自分はなにをやっているんだろう」

そんな思いが、思考を過る。

ひらがな三字がぐるぐる回る。

 

好きな事に打ち込むことで今まで生きてきて、

頑張り抜く事で、辛いことも乗り越えたから、

頑張るための足場が弱い、今が不安。

ちょっとのことが、こたえてしまう。

 

そして目の前には、

自分の夢だったことを代わりに叶えている仲間。

全員が希望通りのことをできないことはわかっている。

こらえるのは自分一人。

 

 今の自分の、大事なものは何だろう。

自分を見失いつつもあるのかもしれない。

夢にそこまで固執しなくてもいいじゃないか。

やってみたら面白いと思えているじゃないか。

そう思える瞬間も確かにあって。

 

今までよりも、精神的な余裕がなくて、

失恋したみたいに時々心が痛んだりして、

そんな自分を埋めるかのように、

新しいことを吸収しようとしている、

そんな、今までと違う自分と向き合っている。

なかなか、興味深くもある。

name:NAO -from 2012-08-05-